痛みが引かずに我慢していませんか?

痛みが引かずに我慢していませんか?

2011.10.20更新

60代男性  兵庫県 尼崎市

メンテナンスで月1回のペースで来院されている患者さまから急な電話が入りました。

庭でビワの木から実を採っていたところバランスを崩して前のめりになり、ビワの木に手をついたら幹が折れてしまいそのまま前に転倒、庭の大きな石に右胸を強く打ちつけたそうです。

骨折等の心配があったので近くの整形外科でレントゲンを撮ってもらい、結果は「骨には異常なくただの打撲です」とのことでした。
治療も無く湿布薬だけ処方されたので2~3日様子を見ていたのですが、せきやくしゃみでも強い痛みが走り、右腕を上げる事も痛みによって上手く出来ないようになってきたため、あわてて来院されました。

詳しくわき腹を調べてみますと・・・

・広い範囲に打撲がみられ、内出血しています。押さえると打撲特有の「ズーン」とした痛みを感じます。

・わき腹のいくつかの押さえると飛び上がるくらい痛いポイントがあります。(ジャンピングサイン)この部位は打撲の痛みの部位とは一致していません。

・右手を上に挙げようとすると、わき腹に引きつるような痛みが走ります。この時の痛みは「ジャンピングサイン」と一致する「点の痛み」と引き伸ばされるような「面の痛み」が混在しているようです。

・咳をしてもらうと「ジャンピングサイン」付近に痛みが走ります。

これらから解る事は、

①打撲による圧迫・挫滅により組織に損傷があるために痛みが出ている(打撲の痛み)

②転倒した時の衝撃と痛みにより、体に過剰な防御反応が起こり、痛みに対して敏感なポイントが出来ている(ジャンピングサイン)

③打撲による組織の損傷に対して早くも修復が行われているが、皮下で筋膜と筋肉が無作為に修復されているため癒着瘢痕が形成されかけている(引きつる面の痛み)


これらの痛みは発生の段階において同じ原因(転倒→打撲)から起因しているのですが、痛みを出しているメカニズムが全く異なるために施術はこれらの3つに対してそれぞれ別の方法で行っていく必要があるのです。

①の打撲に対しては基本的にはアイシングをしながら安静にするのですが、拍動痛(脈打つようなズキズキした痛み)や夜間痛がみられない場合にはあまり必要ではありません。炎症がひどくない場合に冷やしすぎるとかえって血行不良を招くことになり、結果として組織の修復が遅くなってしまうからです。

さらに病院で処方されたり薬局で購入できる湿布薬には消炎鎮痛剤が成分として入っています。この成分は血管の拡張を阻害する事により炎症を抑える働きがあるため、薬の成分が身体の中にある間は血流が悪くなってしまうのでさらに注意が必要です。

②のジャンピングサインに対しては、興奮して感受性が高まった(痛みに対して過敏になった)ままの受容器(センサーのようなもの)の鎮静化を促す施術を行っていきます。鎮静化に使えるテクニックにはいくつかの種類があるのですが、今回は「ポジショナルリリーステクニック」という北米やカナダのドクターや理学療法士が好んで用いる方法を使いました。

③の修復の過程で生じる癒着や瘢痕は打撲の傷口が完全に修復されたころ(2~3週間後)にはより強固にくっついた状態になっていることが多いため、早めに滑走状態を回復する施術を開始することが好ましいのです。

強固にくっついてしまってから改めて滑走状態を回復させる手技を行う場合には、より多くの時間と大きな力が必要になるため、患者さんの負担も大きくなってしまいます。

何事も計画的に、先回りして進めていくことが大切なのです。

この患者さんにも、これらの手技を順に行い、帰るころには右手もひきつらなくなり、ジャンピングサインの出ているポイントも押さえても痛くなくなりました。

打撲による広範囲の痛みは組織の修復、つまり部品交換が完全に終わるまでは無くなる事はありませんのでこれはある意味「日にち薬」ですがその他の痛みは上手く原因やメカニズムを突き止める事が出来ればかなりの問題がその場で解決するのです。


次回は1週間後に来てもらう事にしました。

ありがとうございました。



投稿者: ナチュラル・キュア整骨院